タネカラプロジェクトの想い

山の木のタネをひろって育てて、私たちの手でちょっと大きくしたら、またもとあった山に帰そう! 

―うわべだけのSDGsは要らない。本当に意味のあるSDGsを形にするために―

びわ湖源流域に広がる成熟段階の森林でも、里に近い落葉広葉樹二次林でも、後継樹が少ない、下層植生がほとんどない(あっても種数が極めて限定的)といった風景がごく当たり前に見られるようになってきた。
成熟した木々が旺盛に枝葉を広げる。その下に次世代を担う稚樹がなくても、季節の移ろいとともに緑が生い茂り、種々の木の実がなり、生き物たちが集って我々の目を楽しませてくれるので、一見豊かな自然がいつまでも在り続けるように錯覚する。
このような地域の森の未来に危機感を抱く人はごくわずかで、大多数の無関心にカモフラージュされながら、森の多様性の崩壊は水面下でじわりじわりと進んでいる。
二ホンジカの食害によって森の天然更新が阻まれていることが主な原因であるが、今もなお有効な手立ては見つかっていない。
他にも、奥山の広葉樹林においては、生態系への配慮に欠ける無秩序な伐採が後を絶たず、施業後そのまま放置され、貧弱な植物相の地と化している。
また、針葉樹の人工林についても、風雪害により荒れ果てた林や主伐後の土地に適切な対策が講じられず、行き場を失っている。
そこで、"森作り"の循環サイクルの中で最も滞っているスタート段階に焦点をあて、自生種の種子採集と地域性苗木の育苗、そして山への植樹を手がける。
地域の森林は、地域のタネと地域のヒトの力で再生する。
樹木の発芽と定着のメカニズムを探る中で、私たちは木々の精緻を極めた生の仕組みに心打たれるだろう。
タネから始まる命の循環、タネから関わる森作り。
その楽しみをできるだけ多くの仲間と共有し、次世代へ発信したい。
未来に向けた、実に息長いプロジェクトである。


タネプロ 3つの活動指針

(1)地域性苗木の育苗   ー地域の森は地域のタネからー
・在来の地域性系統の遺伝子を守るため、自生種の実生苗、挿し木苗、山取り苗のみを取り扱う。
・二ホンジカの食害の影響を大きく受ける稚樹期の間、人の手で育苗し可能な限り大苗に仕立てる。
・可能な限り自然に忠実な配植を実現するため、すこぶる多様な樹種の育苗に挑戦する。

 (2)地域の山への植樹、その後の育樹 ー森を生態系として見るー
・短期的な効率、目先の経済的利益にとらわれず、自然の仕組みに忠実な配植を追求する。
・生物多様性を基軸に造林計画を立てる。
・植樹木の生育を観察し、必要に応じて獣害、雪害対策などの手入れを行う。

 (3)地域の森林調査 ―山の現状を把握し発信する―
・伐採跡地の経過観察、試験地の植生、獣害の程度等を定期的に調査し、データ化する。
・山の現状を広く発信し、生態系を無視した伐採や森林利用を見直すきっかけを作る。

具体的な活動内容

タネあつめ

秋、みんなで森にくり出して、いろんな木々のタネを集めます。
※決して乱獲はしません。

育苗にトライ

採取したタネを畑やポットで育てます。会の圃場をメインに、会員それぞれの家で育てることもできます。

木を山へ帰す

育てた苗を地域の山に植樹します。山の環境、状態をよく観察して配植します。

木に会いにゆく

植えた木々の成長を見守ります。必要に応じて獣害・雪害対策や、草取り、せん定などの手入れをします。

森の調査

地域の山の調査を定期的に行い、現状を把握します。

苗場の環境整備

草刈り、草取り、獣害柵の整備等々、設備の維持管理をします。

タネカラプロジェクト会則

第1章 総 則

(名称)
第1条 この会は、「タネカラプロジェクト」と称する。

(事務所)
第2条 タネカラプロジェクトの事務所は、高島市朽木生杉180に置く。

(目的) 
第3条 びわ湖源流域における森林の遺伝子資源を守り、地域性苗木の育苗と山への植樹を通して、生態系機能の備わった多種共存の森林を再生する。

(事業)
第4条 会は、第3条の目的を達成するため、次に掲げる事業を行う。
(1)地域性苗木の育苗 ―地域の森は地域のタネからー
(2)地域の山への植樹と育樹 ー森を生態系として見るー 
(3)地域の森林調査活動 ―山の現状を把握し発信する―
 
 
第5条 本会の設立年月日は、令和4年3月1日とする。


第2章 会 員

(会員の種類)
第6条 会員は、正会員、賛助会員の2種とする。

(入会)
第7条 会員になろうとする者は、会の目的に賛同し、定められた入会申込書により申し込む。


第3章 役員

(役員の種類及び定数)
第9条 会に次の役員を置く。
(1)代表 1人
(2)副代表 1人
(3)会 計  1人
(4)理 事 4人
(5)監 事 2人

(役員の任務)
第10条 役員は、会を運営する。
(1)代表は、会を総括し、会を代表する。
(2)副代表は、代表理事を補佐し、代表理事が不在のときはその任務を代行する。
(3)理事は、会の方針や運営方法を総括する。
(5)会計は、会の会計を行う。
(6)監事は、会の事業及び会計を監査する。 



第4章 会 計


(資産の構成)
第11条 会の資産は、次の収入をもって構成する。
(1)会が募る基金
(2)補助金、委託料 
(3)ツアーやイベント実施手数料
(4)借入金
(5)その他の収入


第5章 雑 則


(細則の制定)
第12条 本会則の運用を円滑にするために、本会則の施行について必要な事項は、役員会の議決を経て別に定める。


附 則

本会則は、令和4年3月1日から施行する。
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事務局:滋賀県高島市朽木生杉180 タネカラプロジェクト

代表 清水美里